薬の連用は常習便秘の悪循環を招く「下剤依存症から抜け出す」

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「ここ数日お通じが来ていないな・・・」そう思ったとき、すぐに便秘薬に手を出してしまう人も多いのではないでしょうか。

確かに便秘が進行しすぎて腸内に宿便がぎゅうぎゅうに詰まってしまっている状態では、少し食事を改善したり生活態度を改めるだけではそう簡単に便秘を改善することはできません。

そんな時には便秘薬を飲んで一度体に詰まったものを出してしまうのも効果的ではありますが、毎日のように便秘薬を常用することは実はとても危険なのです。

ここでは下剤や浣腸といった便秘薬がもたらす危険性についてご説明します。

毎日排便がないと気がすまないため薬を飲みぎする

便秘薬を飲むのは、もちろん辛い便秘症状に苦しんでいるときがほとんどでしょう。

腸が健康的な状態であれば排便は毎日あるのが正常です。

とはいっても、2、3日お通じがない程度であれば便秘の症状としては軽度であり、無理やりにでも排便をしなければいけないという状況ではありません。

しかし、神経質な人は決して目に見えて体調に影響を及ぼしているわけではないのにもかかわらず、毎日排便がないと不安になってしまい、結果便秘薬に頼ってしまうことが多いのです。

一度便秘で辛く苦しい思いをしたことがある人にこうした傾向が多いようです。

また、便秘薬を便秘解消目的ではなく、ダイエット目的に服用している人も多いようです。

摂食障害といえば過食嘔吐がよく知られていますが、便秘薬によるダイエットもそれと目的は同じです。

たくさん食べてしまっても、食べ物が体内に吸収される前に排出してしまえば太らないだろうと考え、便秘薬を使って無理やり排泄してしまうのです。

こちらも毎日、ひどいときには毎食後に薬を服用することがもはや習慣化してしまっていることが多々あります。

便秘解消目的にしろダイエット目的にしろ、日常的に便秘薬を服用していると、いずれ「下剤依存症」となり健康に害を及ぼすようになります。

「下剤依存症」薬を長期に使用していると効きが悪くなる

一度でも下剤を服用したことのある方なら思い当たる節があるかもしれませんが、下剤は人によっては非常に効き目が強く、場合によっては用量の半分程度でも効果を発揮します。

しかし、毎日のように下剤を飲んでいると、そのうち用量では効果が現れなくなり、どんどんと量を増やして服用していくようになるのです。

それはなぜでしょうか?

便意は、腸が内部にたまった便に刺激され、腸壁を収縮させ便を腸の外に押し出す「蠕動運動」によっておこります。

下剤は、腸にこの蠕動運動を促すことで半ば無理やり排便させるものです。

初めのうちは下剤による刺激に敏感だった腸も、毎日のように同じ刺激を受け続けることによってだんたんと刺激に鈍感になり、蠕動運動を起こさないようになります。

下剤の量を増やせば刺激も強くなり腸が反応を示すようになりますが、やがてはその刺激にも慣れてまた下剤の量を増やす、といったいたちごっこになるのです。

こうした生活を続けているうち、腸はだんだん自らの力で蠕動運動を起こすことができなくなっていきます。

腸はもともと「怠ける臓器」とも言われており、常に働かせておかなければどんどん機能が低下していくのです。

そうなるともはや、薬に頼らず自分の力で排泄することはできなくなっていきます。

下剤依存症がもたらす影響は自力排泄ができなくなることだけではありません。

下剤を飲むと、腸の水分が便に吸収され便が柔らかくなり、排出されやすくなります。

しかし下剤を飲みすぎると必要以上の水分が便とともに排出されてしまうため、脱水症状を引き起こす危険があります。

これが毎日続けば慢性的な脱水症状となり、めまいや吐き気、強い倦怠感など日常生活に影響を及ぼすようになります。

さらに水分と一緒に、骨や筋肉を作る大切な栄養素でもあるミネラルまでもが排出されます。

このため、低血圧や不整脈、骨粗しょう症などを引き起こす危険もあるのです。

下剤を常用する生活が数か月~数年も続けは、腸は全く機能しなくなります。

そうなれば電気治療、果ては人工肛門の装着にもなりかねません。

ここまで症状が進行するまえに下剤の常用を止める必要があるのです。

便秘薬が影響で大腸の粘膜が変色する症状「大腸メラノーシス」

便秘薬の常用によるもう一つの恐ろしい作用が「大腸メラノーシス」です。

大腸メラノーシスとは、大腸の粘膜にメラニン色素が沈着し、腸が真っ黒になる症状です。

主にアロエやセンナ、大黄など生薬由来の下剤による刺激が原因で発症するものです。

生薬というと「身体に優しい薬」といったイメージを持っている人も多いかもしれませんが、実は意外と強い刺激を持っており、それが少しずつ大腸の粘膜にダメージを与え続けた結果発症するのが大腸メラノーシスなのです。

大腸メラノーシスになっても見た目の変化が目で確認できないため不調に気づきにくいのですが、実は徐々に大腸の機能が低下していき、大腸がんの発症リスクまで高めるという恐ろしい病気なのです。

はじめのうちは大腸の機能低下に伴う便秘症状の悪化、程度ですが、メラニン色素の沈着によって細胞の硬化が始まり、これが大腸がんのリスクを高めるのです。

大腸メラノーシスからすぐに大腸がんにつながるわけではありませんが、悪化しないよう早めに治療することが大切です。

徐々に薬の量を減らしていく

便秘薬に対する中毒症状はタバコやお酒、過食嘔吐に対するそれと同じです。

やめなければと思いつつもなかなかその習慣から抜け出せないものです。

しかし、取り返しのつかない事態になる前に何としても薬の常用から抜け出す必要があります。

そうはいっても、それまで何錠、何十錠と飲み続けてきた薬をいきなり一切やめるというのも難しいでしょう。

数日間はそれで我慢ができたとしても、かえってリバウンドを引き起こしかねません。

大切なのは、「気づいたらここ数日薬を飲んでいない」というくらい自然にやめることです。

そのためには、いきなり薬の量をゼロにするのではなく、徐々に減らしていく方法がベストです。

10錠飲んでいたのなら8錠、それに慣れたら6錠といったように自分の中で違和感を覚えない程度に薬を減らしていくのです。

1日に何度も服用していた場合は、その回数自体を減らすことも大切です。

最終的にその薬の用量にまで減らすことができたら便秘薬からの脱出まであと一歩です。

薬の量を減らしつつ食事と生活習慣を見直す

排便を薬に頼り切っていた人の場合は、便秘薬をやめることで便秘になってしまう危険もあります。

そうならないよう、薬を減らしながら薬以外の便秘対策も並行して行うことが大切です。

食生活を見直し、水分や食物繊維の豊富な食品を積極的に摂取すること、また薬をやめたストレスからストレス性の便秘を発症する危険もあるため、十分な睡眠や 適度な運動、リラックスできる時間を確保するようにするなど生活習慣の見直しも大切です。

便秘薬は食事療法や生活習慣の改善に比べれば便秘解消効果は格段に高く、また即効性もあるためついつい頼りたくなってしまいます。

しかし強い効果は一方で正しく使わなければ危険性に転じることもあるので注意が必要です。

便秘薬を用いるのは生活に支障が出るほどの重い便秘や、手術前や出産前のように今すぐ排便しなければならない時だけにし、できるだけ自然に排便できるようにしましょう。